タ『人情の機微、罪のない穿ちに共感』
「笑いのツボ」を心得て、人気絶頂の綾小路きみまろさんの漫談、爆笑のネタ本である。
「男性に突然襲われたときだってありました。あれから40年。いま、突然襲われるのは、息切れ、めまい、動悸」
「若い頃は若気の至りで よく羽目をはずしました。あれから40年。今、はずしているのは入れ歯だけです」
「あれから40年」これだけ聞いたら、もう笑って待ってくれる聴衆。本書はあえて「ネタ帳」から180を公開してくれている。
聴衆はけなされ、落とされても、決して不快には思わない。ずばりストレートなもの言いに共感するから、その話術たるや凄い。まず、ほめることはない。
「若いときはきれいだったのです。そこで笑っていらっしゃる奥様、面影はないですけれど」「自分よりも ブサイクな人に笑われて 残念です」
「失敗は、顔だけで十分です」これをタイトルにしているのもうなずける。何の説明もなく、人情の機微を衝き、「なるほど」と大きくうなずける、罪のない穿ちである。
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